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9人の乙女プラス1
 私は1970年に電電公社(NTT)に電話交換手として入社しました。宿直勤務があって様々な業務を交代で行い、孤立無線と呼ばれる通信確保するための無線電話回線の試験は先輩が担っていました。新米の私は茶碗洗いの担当で、いつか私もとの気持ちで横目で試験を見ていました。半年位たった頃先輩に頼み、習いながら試験をして無事クリアしました。一気に一人前の電話交換手になった気がして、胸を張って歩いていました。
 ある日、勤務中に強い地震が北海道を襲い、電話交換室の床は揺れながら回っています。見上げると頭上の蛍光灯は一斉にブランコのように揺れています。はずれて落下したら間違いなく直撃です。飛び散ったガラスの破片が身体に突き刺さる光景が・・・と、思わず後にいた主任に「逃げていい?」と聞くと困った表情で顔を横に振りました。
 数年後私は窓口営業へ職転、その研修で電話交換手を扱った映画「氷雪の門」を見ました。戦争終結後に、ソ連軍はサハリンに進軍し市街地を占領しました。郵便局で電話交換をしていた9人の女性交換手は進撃状況を近隣に伝え続け、最後の通信を終了後全員自決しました。最後まで電話交換の任務を全うした責任感に感銘しました。同時に地震の恐怖に一人逃げようとした自分を思い出し、無責任で浅はかな言動に愕然としました。侵略と地震では状況は違いますが、職務を遂行しようとする基本姿勢は同じです。
 今年は戦後60年の式典が全国で開催され、戦争の過ちや平和への願いが様々な人の口から語られています。広島・長崎の原爆の悲劇に加え、この9人の乙女も悲惨な戦争の実話のひとつとして紹介されます。その都度、25年程前に交換室で私がとった行動と主任の顔が浮かんできます。ほろ苦さと共に。
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